今日はふとこんなことを思い出しました。
会社を辞めると決めた頃の話です。
上司に辞職の了承を得た後、職場の人にも徐々に退職することを伝えていきました。
その中で、現場のチーフを務めていたある女性から「ありがとう」と言われたのです。
それは「今までありがとう」のありがとうではなく、「そういう選択肢を教えてくれてありがとう」でした。
彼女は仕事のできる人で、いつも本当にみんなの事を考えて一生懸命仕事をしていました。
頑張りすぎて体調を崩すこともあって、大丈夫かなってよく心配していましたが、私がどうしてあげられることもできず、時々不満や愚痴を聞いてあげるのが精いっぱいでした。
そんな彼女がもうすぐ辞める私に「ありがとう」と。
やっぱりもう仕事でいっぱいいっぱいで辛い、でも仕事って辛いものだしこれで仕方ないんだって思っていたそうです。
そんな時「今の仕事と家事育児の両立があまりに辛いので辞めます」という私の事を知って、
(実際、理由はそれだけではなかったのですが、会社にはそれだけ伝えていました。)
「そうか、辛いなら辞めてもいいんだ」とはたと気づいたと言います。
実際、今すぐ辞める気持ちはないけれど、そういう選択肢があるというだけで、ずいぶん心が軽くなったと嬉しそうに話してくれました。
「考えてみたら当たり前のことなのにね」と笑っていました。
でも彼女の気持ちも分かる気がします。
責任感が強かったり、いつも全力でいると、見えなくなることってありますよね。
そして「仕事は辛いのが当たり前、だから辛い事を理由に辞めるなんてダメ」という自分の決めた信念に忠実であろうとする。
それはそれで素晴らしいことだし、そういう彼女だからあんなに仕事もできたのかもしれません。
でも、選択肢がないのは辛いです。
色んな選択肢がある中、自分が自らそれを選んでやっていると思えるのと、それしかないからやっているというのとでは気持ちが全然違いますよね。
人生、選択肢はたくさんある、思ってる以上にたくさんあるってことを忘れないでいたいです。
特に辛いときはね、どうしても視野が狭くなって見えなくなるから。
彼女から受け取った意外な「ありがとう」、私の決断をそんなメッセージとして受け取ってくれたこと、私もなんだか嬉しかった言葉でした。
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